不純異性交際(下) ―それぞれの未来―
第20章 瀬川くんの憤り
ネックレスを買ってもらい、平野と鉢合わせたあのショッピングモールに到着すると私たちは手をつないで歩き出した。
「なにが必要?」
「んー…下着と、コンタクトと…」
「寝間着は?」
「瀬川くんの大きい服、着るの好きだから…」
「ふふっ、そう」
ランジェリーショップの前に着くと、瀬川くんはトイレに行くと言って離れていった。
私は好きなデザインの下着を2セット購入すると、店の外で彼が手すりに寄りかかって待っていた。
ワンデーコンタクトを多めに買い、最後にアメニティなどを揃えに日用雑貨店に入る。
「布の、どんなのがいいの?」
「んーっと…これとか可愛いなぁ」
私はノルディック調のデザインを手に取る。
「なんか…お前っぽい」
「アハハ、そう?」
「うん(笑)それにしよう」
どちらにもトナカイのマークが入った、赤色と紺色のコースターを1枚ずつカゴに入れる。
箸置きはコースターに合わせたトナカイの形のものと、それとは別にリスの形のものとでうーん、うーんと迷った。
「4つとも買えばいいじゃん(笑)、ほら」
瀬川くんがカゴを差し出しながら言ってくれたので、お言葉に甘えて4つとも買ってもらったのだった。
新しい日用品とはワクワクするもので、道中私は早く瀬川くんのアパートに着かないかとそわそわしていた。
やっとアパートに着くと早速洗面所に洗顔クリームやヘアブラシを置き、なんだか急に”女の気配”が漂う空間になった。
「台所の事は、お前の好きにして。どうせ俺いじらないから(笑)」
「わぁい!」
私は買ってきた箸置きをしまうと、コースターを2枚テーブルに置いた。
瀬川くんがミルクたっぷりのコーヒーを淹れてくれたので早速コースターを敷いてみると、私はなんだか嬉しくてにんまりしてしまう。
「そういえば、明日の準備しておかなくちゃ。デザインは1から作り直すのかなぁ」
「いや、テンプレートはそのままで良いみたいだった。ただ、2月とは季節が違うからな」
「そうだよね。じゃあちょっとだけ、作業しても良いかな?」
「もちろん。俺もちょっと資料やるわ」