不純異性交際(下) ―それぞれの未来―
第20章 瀬川くんの憤り
「はぁっ…はぁっ…っっん」
ピストンが終わっても息が整わず、まだ小刻みに震えている私の髪を彼が愛おしそうに撫でた。
まだそこに挿入されているかのように違和感の残る膣が、ジンジンと痺れている。
「ふふっ。良かった?」
快感の余韻で上の空の私に、瀬川くんが笑いかけた。
両手をのばしておねだりすると、ふわりと大きな肩に包まれた。
「しあわせ……」
「…そりゃあ、嬉しいな。もう一回する?」
冗談を言い合ってじゃれていると、私の携帯がピコンと鳴って甘美な時間を現実へ引き戻した。
反射的に携帯の方を見た瀬川くんが、一瞬固まって、それからうつむいた。
「…ごめん、見ようとしたわけじゃないんだけど」
「…??なあに?」
携帯を手に取り確認すると、そこにはコウヘイくんからのメッセージ通知が表示されていた。
やましい事はないのに心臓がドキンと跳ねる。
[ホント楽しかった!また会いたいな……]
というところまでが見えていて、瀬川くんになにか誤解させてしまったのでは…と、変な汗をかいた。
「あっ…あのね、昨日の夜メッセージが来てて…」
「…アイツと連絡取ってるの、知らなかった。知りたくなかったし」
少し自虐的に笑っているような表情の彼だったが、声はとても怖く感じた。
「違うの、初めてメッセージが来たの。それで私もびっくりしたんだけど…無視しないでって言われてね、それで…」
瀬川くんは無言でコーヒーを口に含んだ。
「いやな気持ちにさせちゃったよね…ごめんね…」
私は何だか涙が出そうになる。
「俺、別にお前に怒ってないよ。ほら…こっちきな」
肩を抱き寄せられ、2人で並んで座る。
ホッとした気持ちと、本当にコウヘイくんのことは何とも思っていないのだと弁解したい気持ちとが押し寄せた。
「連絡取るなとも言わないし、何なら心変わりしたって仕方ないと思う」
「っ…そんなこと…」