不純異性交際(下) ―それぞれの未来―
第21章 二度目の学校訪問
「あ、ありがとうございます。良いんですか?」
「もちろんですぅ。年頃の生徒たちなんでね、もし失礼があったらすみません」
「いいえ、とんでもないです」
「好きに見てもらって構いませんから。後ほど、応接室へ来ていただけるかしら?イベントの打ち合わせをしましょうね。…そうだわ、瀬川先生ぇ~!」
教頭先生が瀬川くんを呼ぶと、すぐに彼がやってくる。
「ミライさんにね、学校内を少し見学してもらおうかと思って。瀬川先生、案内してさしあげたらどうかしら?」
「あ、はい。分かりました。…じゃあ、行こう、ホームルーム始まる」
廊下に出ると木目の床がまっすぐに伸びていて、私はその見た目とうっすら感じるワックスの匂いになんだかワクワクした。
瀬川くんやバラ組、同級生たちと過ごしたあの青春が蘇ってくるようだった。
もともと聞いていた瀬川くんの受け持つクラス”2年2組”を目指し、私たちは歩き出した。
「大人になると、学校って入らないじゃない?新鮮だなぁ…」
「そうだな。お前とこうして廊下歩いてると…昔を思い出すよ」
同じ気持ちでいることが嬉しくて、私の足取りはどんどん軽くなった。
「ここ」
2年2組の教室に着き、一緒に扉をくぐると生徒たちは物珍しそうな顔で私を見た。
「席つけよー。今日は日直だれだ~」
慣れた口調で瀬川くんが言うと皆素直に席につき、30名ほどの生徒たちはなおもチラチラと私を見る。
「はい、今日見学に来られました…------。誘致イベントは知ってるよな?前回そのデザインを担当してくれて、今回もお願いすることになってる」
彼が私を紹介すると、どこからともなく拍手が起こる。
「よろしくお願いします」
私は頭を下げると、元気な男の子が「どこから来たんですか?」と質問を投げかけてきた。
「えっと、…◯◯というところから来ました。瀬川先生とは皆さんと同じ中学生の頃、同じクラスでした」
私が答えると生徒たちは「えぇ!」「そうなんだぁ」と声を上げた。
「瀬川先生はどんな中学生でしたか~?(笑)」
1人の女の子が言うので、
「うぅん…当時から背が高くて、剣道が強かったですよ」
と返事をすると、「先生でけーもんな~(笑)」「やっぱり剣道上手だったんだ~」と盛り上がった。