不純異性交際(下) ―それぞれの未来―
第21章 二度目の学校訪問
「でもそのあとはだいぶ落ち着いて。もう彼が来てくれて3年が過ぎました。安心していたら、こんなに可愛らしい方を連れてくる。瀬川先生も隅に置けませんな(笑)」
「い、いえっ…そんな」
私が首を振ると、教頭先生が優しい笑顔で言った。
「ミライさんは、ご結婚されてるのかしら?」
「いえ、今は…独身です」
含みのある言い方に2人は察し、「まぁ、人生いろいろですよね」とフォローしてくれた。
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「それでは今日はこれで…またデータが出来上がったらお送りします」
「どうもありがとうございます。私どもは知っての通りパソコンが大の苦手でして。また瀬川先生に送っていただければ…」
「はい、承知しました」
「瀬川先生~!ミライさんを駅まで、送ってさしあげて」
校長先生が呼ぶと、車のキーを持った瀬川くんがやって来た。
挨拶をして門を出る時、奥から教頭先生が小走りで駆け寄ってきた。
「ミライさぁん、これ、お茶。良かったら持っていって下さい」
紙袋を手渡され、中には真空パックにされたお茶っ葉が入れられていた。
「わぁ、良いんですか?」
「えぇ、沢山ありますから。またいつでも遊びに来て下さいね」
学校を後にし、車に乗り込む。
「すげえ仲良くなったんだな(笑)あんな嬉しそうな教頭、見たこと無いかも。」
「本当?すごく優しい方だよね。また会えるのが楽しみ」
「納涼祭、予定空いてたら来いよ。流しそうめん食いに(笑)」
「いいのかな?」
「もちろん」
駅につくとロータリーに車を停め、瀬川くんも一緒に改札まで歩く。
「ここでいいよ」
「大丈夫。あそこに時刻表あるから、次の電車見てきて」
「うん、分かった」
時刻表を確認すると、あと10分ほどで次の電車が来るようだ。
「あと10分だったよ!」
「お、ラッキーだな。下手すると30分とか待つから」
そう言って電車の切符と、ペットボトルのルイボスティーを手渡してくれる。
「えっ、いいのに。また、そうやって甘やかすんだから。…でも、ありがとう、いつも…」