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不純異性交際(下) ―それぞれの未来―

第22章 嘘


「ね、ミライ。瀬川くんとは順調?」


「…うん、まぁ…」


「なあに~?私に気つかってるの?やめてよもう(笑)ノロケも私の楽しみのひとつなんだからね!?」


「ふふっ…ノロケるほどの事は何もないよ。普通にうまくいって…る」


「…??なんか言いたそう」


私の一瞬の迷いに、アンナが鋭く突っ込む。


「問題ないのよ、私たちは。でもね…コウヘイくんからメッセージが来て」


「なんて??」


「同級会楽しかった~、また飲もうねって」


「まぁ、普通だね」


「そうなんだけど…。それで無難な返事送って、返ってきた”また会いたい”っていうのを瀬川くんに見られちゃって。隠してたわけじゃないんだけど…」


「瀬川くん怒ってたの?」


ナポリタンを頬張りながらアンナが聞く。


「ううん。大丈夫だけど…でもコウヘイくん、私たちが付き合ってるの知ってるんだよ?なのに、飯行こうって、さっき…」


「うわぁ、積極的」


「無視するのもなんだか…ねぇ?」


「うーん…確かに…。でも、ミライはコウヘイくんの事、なんとも思ってないんだよね?」


「そりゃあもう、全然…。出来ることなら、他の同級生みたいに普通にみんなで仲良く飲んだりしたいよ。友達として」


「そうだよねぇ。…ふう、ごちそうさま!美味しかった~ぁ!」


しっかり完食してくれたアンナに私は一安心した。


「またいつでもごはん食べに来て」


「いいのぉ?本当に来ちゃうよ(笑)」



それからしばらく、テレビを見たりお喋りをして過ごした。



「そういえば、今月瀬川くんの誕生日なの」


「そうなんだ!なにあげるの??」


「まだ決まってない…なにが欲しいのか全然分からなくて」


「え~、なんだろうね。実用性のあるもの?」


「実用性…」


「仕事で使うものとか」


「筆記用具?」


「なーんか、パッとしないね(笑)」


「だよね(笑)悩んじゃうなぁ」



そうこうしているうちに夕方になり、アンナは帰っていった。


とにかく、アンナが少し元気になったようで私はホッとした。


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