不純異性交際(下) ―それぞれの未来―
第24章 夏祭りの知らせ
「もちろん、行きたい~!瀬川くんと夏祭りかあ…嬉しい」
「ふふっ。あとで同級生のグループトークにも流すって言ってたよ。俺は入ってないからいつも電話(笑)」
瞬時に、同級生のグループトークには紀子も参加しているんだという事を思いだした。
見て見ぬ振りは出来ない過去のしがらみに、私は思い切って言った。
「あのグループトークってさ…」
「うん?」
「紀子も、参加してるんだよね」
「…あぁ、そうらしいね。随分前に、平野に聞いた」
「もし…これから同級会で鉢合わせなんて事があったら、まずい…よね?」
「俺は別にまずかないけど、あいつが来るとしたら平野がすぐ警告してくるだろうな」
「あ、そっかぁ…」
「……俺とお前の関係がバレたらまずいよねって意味だった?」
「まぁ…それもある…かな…ぅうん…」
私はモゴモゴと言葉を濁す。
「俺はね。…もうちゃんと話つけて決別したし、その後の人生はあいつも俺も自由だと思ってる。だから知られても別に構わない。ただ…--」
「…ただ…?」
「女同士のそういうの、俺には分かんないからさ…。お前の都合良いようにしてこう」
「都合良いように?」
「知られたくなければ隠せばいいし、会いたくなければあいつが来る時は行かないでいるとか。気にしないんなら、堂々としてれば良い」
「瀬川くんは……」
「俺は、まぁ正直顔は合わせたくないけどな。あっちも多分そうだろうし」
彼は苦笑いで答えた。
「うん…。紀子もいるのに私と瀬川くんもその場にいるって、なんかおかしいもんね…?私も、べつに隠したいわけじゃないよ。でも、会っても…話すこともないというか…」
「ん。…なんかごめんな」
「どうして謝るの~!私だって好きで瀬川くんと一緒にいるんだもん。気にしないで」
「ふふっ。ありがとな。お礼にこれあげる(笑)」
そう言って彼は茶碗蒸しからすくい上げたギンナンを私の口に運んだ。
「んっ!わーい。おいひい~!」