不純異性交際(下) ―それぞれの未来―
第24章 夏祭りの知らせ
ほとんどのお皿は下げられ、あとは少しのおつまみが残っているだけだった。
美味しい地酒を飲みながら、ふと携帯を確認すると同級生のグループトークに平野から夏祭りの知らせが届いていた。
いつもどおり、バラ組のトークルームも夏祭りの会話で盛り上がっている。
今はせっかくの瀬川くんとの旅行中なので、明日また確認しよう…。
私はすっかり忘れていた誕生日プレゼントを取り出した。
「楽しくって、渡しそびれちゃうとこだった!これ…」
「え、なに?」
「誕生日プレゼントだよぉ!あと2日でお誕生日でしょう?仕事で会えなそうだから…この旅行で渡したかったの」
「マジ?えぇ…驚いた。ありがとう!開けていい?」
「う、うん…気にいるかどうか…」
彼は包装紙を取り去り、箱の蓋をパカッと開けるとそこには濃いグレーの腕時計がしっかりと収められている。
「おぉ、腕時計!うわ~、俺このメーカー好きなんだよ。よく分かったな(笑)」
「え、ホント?良かったぁ…すごく迷ったの」
「うん、防水だし丈夫だから仕事でも使ってる。もうボロボロだから、これ毎日使う。ありがとう。色味もいいね」
その場で瀬川くんが腕に付けると、私の想像通り、落ち着いたカラーとアウトドアなデザインがよく似合っている。
「やっぱり似合う…!」
「お、そうか?めっちゃ嬉しい。さっそく明日から付けよ(笑)」
彼はそれを大事そうに箱に戻してから、そっと私にキスをした。
障子の外には、優しく瞬く星たちがこちらを見ていた。