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ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜

第132章 つわり



「もっとちゃんとしなきゃいけないのに、仕事も家事も何もしてなくて、ただ一日中寝てるだけで、なのにずっと吐いて体調良くできなくて…わたしお母さんになるのに、こんなので申し訳ない…」



「そんなことない。今もお腹の中で俺たちの子を守って、育てて、ひなは命がけで頑張ってくれてる。何もしてなくなんかない。何もしないどころか、すごいことしてるんだぞ。ひなにしかできないこと。ひながこんなに頑張ってくれてて、この子も俺もどんなに幸せか。ひなはもう立派な母親だ。ありがとう。」




そう言って、ひなの手に添える手の片方を、布団の上からひなのお腹にそっと置くと、




「グスン、グスッ……うっ、グスッ、ヒック、ぅぅっ」




ひなは声を上げて泣き始め、




「ううっ…、う"っ……」



「吐く?」



「コクッ…、う"っ、オエッ!!」



「しんどいな。全部ひなが頑張ってくれて、ごめんな…。」




何もできないのは俺の方だと、横になったまま吐き続けるひなの背中をさすりながら、どうかひなの身体が早く楽になるようにと、せめてもの念を送り続けた。


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