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いつか秒針のあう頃

第4章 4話

「今のがナカイキね」

「…………」

やっと呼吸が戻って来て、喋るどころじゃない俺を、智くんがウットリした顔で見下ろしてた。

いつも俺が上に乗ってる時に、智くんが止まらないみたいに痙攣してたのは、これだったの?

「凄いだろ、ふふっ。
 いつも翔くん、見てるだけだからね。
 イかせてやりたいと思って」

ああ、俺の快感をこの人も共有してるんだ。
今までは俺が知らないから、貴方一人でイッてたの?

「さとしくっ……うっ……うっ……」

愛おしいんだか、ビックリし過ぎたショックなのか、わかんないけど泣けてきた。

いいんだ、理由なんかわかんなくて。
言葉なんかどうせ無力で。
どこまで伝わるのか。
この人と繋がっていること以上に、想いを共有できる方法を俺は知らない。

「あ~~泣いちゃった。
 ふふっ、怖かった?」

ウンウンと頷く俺の目蓋にキスが降って来る。
そのまま柔らかな唇が涙を吸い上げてくれて。
舌が睫毛をなぞって行く感触が続く。
堪らない。

「ん……締めんなって……」

締めてないよ。
だってもう全身脱力しちゃってて、全然チカラ入らない。

「すぐ慣れるよ」

言うとまた智くんが動き始めた。

「うそっ、もう無理、あっ、あっ、あぅ」

抗議する間もなく揺らされる体。
再び押さえつけられる膝。
圧迫される、その部分。

「やだっ、あっ、あっ、あっ」

「ほんとはヤじゃないだろ?」

「おかしくなるっ」

「ふふっ、おかしくなりなよ」

涙で滲んだ視界の中で、智くんはやっぱり優しい顔で。
愛おしそうに俺を見てた。




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