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いつか秒針のあう頃

第5章 5話

このまま二人、溶けてしまえばいいのに。
せっかく繋がって一つになって。
何もかも曝け出し、二人だけの時間を過ごしてても。
ずっと続く保証なんてどこにもない。

ちゅっ、と音を立てて唇が離れて、俺は揺らされながら智くんを見つめた。
智くんも俺を見つめてる。

ねぇ、俺達、本当にこれで良かった?
良かったんだよね?

「……どした?」

何でもない、って首を振ると、智くんは体を起こして、繋がったまま姿勢を変えた。
一瞬抜けそうになった後、またヌッと入って来る。

「あ……」

俺の腹の上を撫でてヌメリを手に移すと、少し勢いがなくなってた俺のを握ってくれた。

スルスルと上下に動く手の感触が優しくて、すぐにまた硬くなってくる。
時々思い出したように腰を動かすのがまた良くて。

「ああ……気持ちい……」

「翔ちゃん、これ好きだもんな? このままイク?」

多分、出したらすぐ寝ちゃうな、と思ったけど、もう何も考えたくない。
気持ちいいまま眠りたくて頷いた。

これで良かったのかどうかなんて、誰にもわからないことだ。
決断して実行したからにはブレたくない。
もしかしたらお互い、この先、ほんの僅かの迷いや後悔は残るのかもしれないけど。

今はただ、繋がってる事実と貴方への想いだけが全て。

「あ、あ、あぁ……あ、ん……」

握ってる圧が強くなって、智くんの手の動きが速くなった。
上下に擦る同じタイミングで、中に入ってる智くんのが抜き差しを始める。

「んんっ、あっ、あっ、あっ」

好きなようにされて、主導権を放棄して。
ここまで委ねるのは貴方だから。

「……翔ちゃん、ずっと俺のものでいろよ」

「あっ、んっ、なん、て?」

言われた言葉が一瞬わかんなくて訊き返したけど。
でも訊いたと同時に理解して、急にスイッチが入った。
智くんがもう一回言ってくれる。

「翔ちゃん、は、俺の、だからっ」

「あっ、ずるいっ、イクッ、あっ、イクッ、ああっ!!」

グッと息を詰めた直後、俺は智くんに貫かれたまま、智くんの手の中で達した。

「あ、あ、あぁ……」

間もなく智くんの切ない声がして、二人分の青い匂いが広がる。

ずりぃよ。
こんな風に刻まれたら、もう絶対に抜け出せない。

俺はもう一生貴方無しではいられないんだ。

そう想いながら思考が朧になるのにまかせた。




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