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私を抱いて

第1章 お屋敷に

ぴちゃっ ぴちゃっ ぴちゃっ

歩くたびにローファーに雨が跳ねてくる

靴下まで染みたようで気持ち悪い

携帯にLINEが来た

「もうすぐ着きますか?」

奥村さんからだった

もうすぐ着くが、連絡せずに焦らそうと思った

ぴちゃ ぴちゃ ぴちゃ

歩幅を変えず、歩きながら街並みを眺めた

高級住宅街って感じの家が並ぶ

右見ても左見ても塀がずっと続いている家が並ぶ

この辺の人は奥村さんと交流があるのだろうか?

私が呼ばれるたびに、近所の人に声をかけられたらなんて答えたらいいのか悩む

だけど奥村さんの家に行くようになって3ヶ月ほどたつがまだ誰にも会ったことがない

時間が夕飯どきだからなのか、いつも雨の日に呼ばれるからなのか、そもそも出歩かない人ばっかりが住んでいるからなのか…

考えても答えが出ないことを考えた

目的の奥村さんの家に着いた

家というよりお屋敷だ

高くて、長い塀は威圧感がある

私は木製で出来ている門扉を開けた

ぎぎぃ…

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