
美しい影
第1章 出会い
亜美は悩みながらも
「でも、それじゃカズさんに悪いですよね?何でそんな事を言ってくれるんですか?」
と、住みたいのか断ってるのかよくわからない微妙な返答をされた。
「俺も亜美と同じ年齢の頃、めっちゃ大変だったんだよ、だから少しでも助けたいと思っただけ。それに話を聞いちゃった手前、亜美がロリコン親父に変な事されるのも嫌だから。これからはもっと笑って暮らそう。亜美が落ち着いた生活が出来る様になるまで協力するよ」
俺はそう言って笑う。
亜美は悲しそうな瞳からポロポロと涙を零し、「ありがとうございます」と泣きだした。
そこでふと気付いた。
あれ?これって周りから見たら別れ話してるみたいじゃね?
「ちょ、俺が泣かしてるみたいになってるから。そんな泣かないでよ〜」
おどけた感じで俺が言うと亜美もそれに気付いたらしく、慌てておしぼりで涙を拭きながら、やっと少し笑顔になった。
やっぱりエクボがかわいかった。
「亜美は笑ってる方がいいよ。これからは何でも相談してね」
「はい。よろしくおねがいします」
亜美はペコリと頭を下げる。
そして奇妙な同棲生活が始まった。
