
美しい影
第2章 同棲開始
同棲を始めてすぐにトラブルは訪れた。
まず、母親に電話してみたらと言ったら、亜美はスマホを持っていなかった。
迷った挙句、連絡はしなかった。そして、俺名義で2台目のスマホを買い、亜美に渡した。
また、亜美は身分証も保険証も免許証も持っていなかった。
なので働こうにも面接すら受けられない。
これはかなり予想外で仕事探しが一向に進まなかった。
けれどその分亜美は掃除や洗濯、料理などは完璧にしてくれる。これは小さい頃から家事全般をやっていたから。
俺はそれで十分助かっていたけれど、亜美としては、これは当たり前の事で働いているという感覚はない。
だから色々と職を探そうとするのだが、勤め先に身元を調べられると実家に連れ戻されてしまう可能性もあった為、身動きが取れない。
結局、2週間ほど亜美は勤め先が見つからずに俺の家で過ごしていた。
