
美しい影
第4章 過去
中学3年になり、バンドを組まないかと誘われた。そいつはギターもベースも持っていた。
俺はベースを貸してもらい、そいつにギターを教えた。
3年の時の文化祭で、俺たちは体育館でライブをした。
ベースは目立たないので俺にはちょうど良いいと思ったけれど、本番では観客が俺の前に200人程集まっていた。
文化祭の後、バンドは解散し、ベースも返した。
中学に入学した頃と卒業する頃ではギターのおかげで俺の立場は変わっていた。
高校に入ってすぐ、母親が亡くなり学校を辞めた。
俺には母の位牌と300円で買ったギターしか残っていなかった。
音楽で食べていこうとその時に決めた。
それから俺はバイトをしながら、ひたすらギターやベースや電子ピアノといった楽器を買い集め、楽器の練習が人生の全てになった。
そして、よく行く楽器屋でバンドメンバーの募集の紙を見て連絡し、バンドを組んだ。
それ以来、他のバントのサポートなどもしながら、どんどんバンド仲間が増えていった。
そうして気付いたら20歳になっていた。
