
美しい影
第5章 美しい影
俺は若干の気まずさを誤魔化すように亜美に話しかける。
「まだ、細かいところは未完成なんだけど、曲を作ったんだ」
俺はパソコンの再生ボタンをクリックする。
ピアノのイントロが流れる。
俺が今まで作ってきた曲と違い、ピアノとドラムとベースがメインの曲。
俺は亜美の顔色を伺いながら聞く
「どうかな…」
「凄いです!美しくていい曲ですね」
「ありがとう。んで、この曲は亜美に歌って欲しいんだ」
「わ、私がですか?」
驚いたような困ったような顔をする亜美。
「そう亜美に歌ってほしい。俺とバンド…、組んでくれないかな?」
俺の人生でこんなに緊張したことは無かったかもしれない。
女に告白する以上に緊張した。
