
美しい影
第1章 出会い
「そうだ、どっか飲みにでもいく?」
唐突にそんな提案をしてしまった。普段のナンパならもうちょっと会話が盛り上がってから言うのに、この子と話していると調子が狂う。
「え、あ、うーん…。そうじゃなくて…」
そう言って少女は悩みはじめてしまう。
そりゃそうだ。こんなタイミングで乗ってくる子なんか少ない。
その子が困っている様子に自分でもおかしな事を言ったことが恥ずかしくなってしまった。
「あはは、ごめんごめん。ま、あんまり遅くならないうちに帰りな」
そうして俺は喫煙所を出ようとした。
