
美しい影
第1章 出会い
「ま、待って下さい。やっぱり飲みに行きたいです」
俺の服の袖を遠慮がちに掴んでこっちを見てくる少女。
俺は掴まれた腕と少女の顔を交互に見る。
「え?あー…。ホントに冗談。だってキミ、未成年だよね?」
「あ、やっぱり、…分かりますか」
少女は力無くその手を下ろす。
「うん、さすがにね。けど、家に帰る気はあるの?」
「…帰りたくはないです」
「そっか…。でも、この辺は夜ウロウロしてると速攻で補導されるよ。友達の所とか泊まれないの?」
「友達…、いないから。お金も無いし、だから…、その…」
悲しそうに呟き、見上げる少女。
あれ?これってもしかしてパパ活少女?
ちょっとまって?俺がその相手?そんなおっさんに見える?
そもそも俺って金持ってるようには見えなくね?
