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居候と実況者が恋に落ちるまで。

第2章 本当は3人暮し、だったり?


***

結局昨日はリビングと水周りの掃除をして一日が終わった。ということは2日目の今日はあの、例の声が聞こえる廊下と玄関をやることになる。

・・・ここに来て2日とはいえ、一色さんと会話があったのは来てすぐの業務連絡の時だけ。

特別人と話すのが好きとか、間があると緊張しちゃうとかはないけれど。これだけ会話がないっていうのもなんだかなぁ…。

せめて一緒にご飯とか食べることが出来たら会話も少し出来るんだろうけど、昨日の感じだと誘ってもまた完全シャットアウトだろうし。

何か良い方法、ないかなぁ。

ああ、でももう1人の誰かが一色さんの部屋にいるんだとしたら私と2人で食べるってわけにはいかないか。

だけどその誰かが確定でいるって分からないのに『3人で食べませんか?』なんて迂闊に誘えないし。

リンちゃんならこんな時どうするのかな。

そういえばリンちゃんてば私を無理矢理ここに押し込んだくせに、一色さんが在宅ワークの猫っぽい人ということしか情報くれなかった…。

あ〜なんかもう考えすぎて頭痛くなってきたし。

…でも夢中になって手を動かしたかいはあったみたい。掃除機をかけて雑巾で拭いた廊下がピカピカだ。

あとはここに乾拭きをすれば完了だ。よし、玄関もあるからここはさっさとやってしまおう!

『…は、…けんなよ!…うわっ…ははっ』

あ、またあの声が聞こえ始めた。今度はなんか怒ってる?でもやっぱり楽しそうな笑い声もするんだよね。

『…、ははっ…あはははっ…』

あれ、なんだろう。なんか、私この声…、

「好き、かもしれない…」

少し鼻にかかった、だけど柔らかい声。
その声が弾むように笑ってる。

ちょっと、そう。ちょっとだけ、扉の向こうを見てみたい、そんな願望が生まれてしまった。

いや、ダメでしょ。勝手に覗くのは。
だけどノックをしたら、ノックの瞬間に部屋に飛び込んでしまったら。

いけないことだとは分かっているけど。

やってみたい。

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