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居候と実況者が恋に落ちるまで。

第2章 本当は3人暮し、だったり?

***

「お口に合えばいいんですけど…」

あれから私は大急ぎで掃除を終わらせて食材の買い出しに行った。久しぶりにあんなに沢山のパスタ買ったよぅ…。今度は、今度があったらネットで買うかこまめに買い置きしておこうと心に決めた。嗚呼、袋を持った腕の筋肉が悲鳴を上げてるぜ…。

『いただきます』と手を合わせた一色さん。
フォークを持つと次から次へパスタが口の中に消えていった。え、速すぎません?

「あ、の…どうでs」

「美味しい。俺この味好きだな」

若干食い気味だったとか、口の端にソースが付いてるとかそんなの関係なくなった。どうしよう、すごく嬉しい。

美味しいって言ってもらったことより、私の味を好きだと言ってもらえたこと。それが何より嬉しかった。

それにやっぱり私、一色さんの声落ち着く。

でも…笑っている時や美味しいと感じている時、つまり言葉に感情が乗っている時の一色さんの声は普段と違うみたい。

・・・もっと聞いていたいな。

「一色さんは、お肉だと何が好きですか」

「肉?…全部好きだけど最近食べてないから、鶏は食べたいかもしれない」

「鶏。じゃ、じゃあ。明日とか、鶏料理作ったら食べて貰えますか…?」

私は面白い話とか出来ないから。
料理なら一色さんの気を引けて、楽しそうにして貰えるかもしれない。そんな下心だった。

「…うん、食べたい」

「うぇっ!ほんとですか?!」

「そんな嘘言わないから。…それに毎食は仕事の関係で無理だけど夕飯なら時間作って食べられるって言ったじゃん、俺」

「そ、うですけど…」

まさか本当になるなんて思ってなかったから、とは言えない。一色さんを怒らせるわけにはいかないもんね。

「明日は鶏肉か、楽しみにしてる」

「はいっ」

「ところで…」

「?」

じっとこっちを見てくる一色さんにドクンと心臓の音が大きくなった気がした。え、なに?

「おかわりは出来るの?」

おかわりでしたか!っていうか一色さん食べるの本当に速いからこれは明日から考えないとだ…。

「パスタ、茹でればありますけど…一応私言われた通り5人前茹でましたよ?」

その証拠に一色さんのお皿はパーティ用の大皿だ。

「あと3人前追加で」

…分かった。1日目のあの封筒の厚みの謎が解けた。一色さんの普段の食費から弾き出された金額だったんだ…!

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