
居候と実況者が恋に落ちるまで。
第3章 聞こえてこないけど、聴いている
紗夜side
今日のお夕飯は何がいいかな、そんなことを考えながらボーッとお茶を啜っているとコンコン、軽い扉を叩く音が聞こえた。
「紗夜ちゃん、ここいい?」
音の方に視線を向けると赤城さんが顔を覗かせている。
「あっどうぞ!そっちのソファに…!」
どうしよう、隙のあるマヌケ顔を見られてしまったんじゃないだろうか…!
「紗夜ちゃんは休憩中?オレここでちょっと作業するけど気にしないでね」
「はい、あの、何か飲まれますか?お茶系なら大体揃ってますが…」
「え、いいの?この家でペットボトルのお茶を投げられることが無くなるなんて感慨深いな〜!じゃあコーヒーをアイスで貰ってもいい?」
「かしこまりました!」
・・・一色さん、お茶投げて渡してたのか。
***
「どうぞ、あのミルクとかシロップとかは…」
さて、アイスコーヒーもピッチャーで用意出来たし私はお仕事の邪魔にならないよう部屋に篭もりましょうかね。
「おお、吃驚した!…オレこう見えてもブラック愛好家だから、ありがとね。・・・紗夜ちゃんどこか行こうとしてるでしょ」
「なんで分かったんですか?もしかして私口に出してました?部屋に篭ろうとか…」
「ううん、なんか、勘?」
凄い…心の声が読めちゃうみたい。そんな能力がもしあったとしたら私は誰の心を読みたいだろう。
「もし紗夜ちゃんが良かったら少し話したいんだけど、いいかな?」
「はい、なんでしょう?」
「ズバリ。一色の好きなところってどこ?」
「」
一色さんの好きなところ…?
どうしてそんなこと聞くんだろう。
確かに私は一色さんに少なからず好意は持っているけれど、そんな周りにしかも今さっき会ったばかりの人に分かるほど漏れ出ているの?!
どうしよう、赤城さんがどういう意図でこんな質問をしているのか分からない。私が恋愛感情を持ってたらヤバい!みたいな何かがある、とか?
「…ええっと、紗夜ちゃん?ごめん、オレの聞き方が悪かったね、言い方変える!」
「あ、え、ええ?はいっ」
あっぶない!また勘違いで暴走するところだった!
「紗夜ちゃんが1週間とはいえ、一色の家政婦をやろうと思えたのは何でかなって。というか、オレが言うのは違うかもだけど一色は冷たいイメージ付きやすいし口も悪いから。ここまで紗夜ちゃんがやってこれた理由とかあるの?」
