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病院の風景

第6章 回復

するとちょうど出くわした女性看護師が、

「あ!石川さん!良かった!トイレにいたんですね?」

と言った。石川は、

「はい!」

と言うと、看護師は、

「ベッドにいないのでたぶんトイレだとは思ったのですが、探しました。これから、レントゲン撮りますから…。」

と言った。石川は、

「あー、そうでしたね!すみません!」

と言うと、看護師は、

「いいえ!お通じはどうですか?出ましたか?」

と言った。石川は、

「あ!いえ…。」

と言うと、看護師は、

「出ませんでしたか?出なければそんなに無理することないですからね!」

と言った。石川は、

「大丈夫です。無理はしてないですから…。」

と言うと、看護師は、

「でも、まだあまり長い時間トイレにいると、痛みもあるでしょうし…。」

と言ったあと、看護師の視線が石川のズボンに移った。石川もその視線につられて自分のズボンを見ると、水とは違う何か粘っこい液体が落ちて擦れたような跡が左太ももの辺りに見えた。

明らかに精子が掛かって、擦れた跡だった。

石川は、ズボンに精子が掛かっていた事に気付いていなかった。

次の瞬間、看護師と目が合うと、石川は動揺して視線を外らせてしまった。たぶん顔も赤かったんじゃないかと思う。

看護師は、

「い、石川さん…、お部屋に戻っていてもらえますか?レントゲン室までは距離があるので、車椅子を持ってお迎えに来ますから…。一人でお部屋に行けますか?」

と言った。石川は、

「はい!大丈夫です。分かりました!」

と言った。看護師は、

「レントゲン室にお連れする担当は、別の看護師になりますので、その看護師がもう少ししたらお部屋に行くと思いますのでよろしくお願いします!」

と言って、足速に歩いて行った。

石川は、きれいな看護師さんだったな!と思うと同時に、やったことバレちゃったのかな?と少し心配になった。

石川が部屋に着くと、急いでベッド横の引き出しからズボンを出すと、ズボンを着替えた。急いでと言ってもお腹が痛いので動作はゆっくりだ。

お腹は痛いが、看護師が迎えに来る前に着替えておきたかった。

少し待つと、さっきの看護師とは違う、少し年配の女性看護師が車椅子を押して現れた。

年配の看護師で何となく石川はほっとした。

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