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ドSな兄と暮らしています

第3章 たった1人の家族

だけれど、なんで無視しようとしたのかがわからない。いや、わかりたくもないけれど、理由があるはずだ。

どうせ無視されてるし、これ以上何かされるようなことは考えなかった。
面倒だけど、この遊びを始めた本人たちに、直接理由を問いただすのが早いと思った。

昼休みが終わる10分前。
教室に戻って、教室の真ん中でご飯を食べている派手な集団に近づいていった。

私が集団に近づくにつれて、静かになっていく教室。
ここにいるみんなが、私のことを見ている。

ざわめきがピタッと止まった。
無表情の私を見て、派手な女子が少し慄いたように、私に声をかけた。

「……なに?」

私は意識的に息を吸う。

「なんで、無視しようって言い出したのか気になってね。教えて欲しいなって思ったから、聞きに来たんだけれど」

直球で聞く私に、教室中がざわめく。

「隣のクラスの連中が見たんだってよ。あんたと年上の男が、ラブホに入っていくの見たってさ。それで援交してんだって。そうなんでしょ?気持ち悪い」

半笑いでそんな下品なことをつらつらと言葉にした。
私は毅然とした態度で、全てを否定する。

「残念ながら、それは全部デタラメだよ。私に年上の彼氏はいない。年上の兄はいるけれど。援助交際もしてなければラブホにも行ってない。そんなの信じてみんなを巻き込んだんだね。くだらない」

派手な女子の笑顔がわかりやすく引き攣る。

私は、腹の底から怒りが湧き上がるような感覚になった。まだ、まだ沸点には達していない。
私はみんなの前で、はっきりさせたかっただけだ。
それだけ言って、踵を返そうとした時。

メンツを潰された女子の、ヤケクソみたいな言葉が飛んできた。

「ひとつ屋根の下で2人暮らしって聞いたけど? 無理やりヤラされてるんでしょ?10歳年下の女子高生と暮らして、住まわせて貰う代わりに体売ってんじゃないの?」

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