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ドSな兄と暮らしています

第2章 生活

1
「兄ちゃん、もう間に合わないから、家出るね〜!!」

ひぇーー!!遅刻遅刻!

バタバタと階段を下りながら、髪をたばねる。
急いでいる時のポニーテールは最強だ。
もう毎日こんな調子だから、何も見なくても何をしていても、形の良いポニーテールができるようになってしまった。

要らん特技だなぁ。

私と兄ちゃんは、この家で暮らして7年目になる。
あの時から7年。私は17歳の高校2年生になった。
兄ちゃんとは家事を2人で分担しながら、お互い仕事や学校に行っている。

「しお!! 朝食食えないなら、これ持ってけ!!」

兄ちゃんは玄関で慌ただしく靴を履く私に、カロリーメイトとおにぎりを持って近づいてくる。

カロリーメイトのチョコレート味……!!! 大好き!

「ありがとう! なんでこう寝過ぎちゃうんだろう〜〜!!毎日こうなるのがわかっているのに〜〜」

今日は、心の声がダダ漏れだ。
本当にいつもそう。朝はもう、寝坊する運命なんだと思う。


兄ちゃんからおにぎりとカロリーメイトを受け取ろうと手を伸ばしかけた、その時。



「あ、珍しく反省してんじゃん。しお、急いでるとこ悪いんだけれどさ」


兄ちゃんが、不敵な笑みを浮かべる。

兄ちゃんは、イタズラ好きだ。
昔からよく、わたしの焦る顔や驚いた顔を見て、楽しそうにしている。いつも何かしら仕掛けているけれど……


朝、家を出るタイミング、ここで来る言葉は一体……?!?!


履きかけていた靴を、ゆっくりと整え直し、呼吸も整える。
イタズラではない可能性も見えてきたぞ……



それと、兄ちゃんは自分にも人にも厳しい。

わたしは17歳になっても、兄ちゃんにしっかり怒られるし、しっかり説教されることがある。

出かけの説教ほど怖いものは無い。

これだけは避けたい。

絶対に避けたい。


兄ちゃんは、何を言い出すのか……
生唾をゴクリと飲み込む。

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