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ドSな兄と暮らしています

第6章 汐夏の挑戦

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毎日、それなりに忙しい。
受験生と呼ばれるようになってから、学校の課題、兄ちゃんの課題に加えて、他の科目の勉強や模試の対策など、毎日盛りだくさんだった。

あれから、兄ちゃんの課題は欠かさずやっている。以前より力がついたのか、悩まず解ける問題も増えてきた。

真希さんや兄ちゃんと相談して、第一希望は家から通える範囲の国立大学に決めて、地道に成績を伸ばすことに専念した。

長い3年の夏休みは、模試と兄ちゃんとの勉強に明け暮れた。

兄ちゃんは厳しいけど的確で、数学は兄ちゃんが教えた通りに勉強していった。

「焦るな、文系の数学は速さより正確さだよ。解ける問題を確実に解くことだけ考えな」

そうやって、兄ちゃんに何度も叱られながら、少しずつできることを増やしていった。


季節は一瞬で過ぎ去るように秋になった。

最初は勉強漬けで吐きそうになりながら毎日机に向かっていたけれど、それにも慣れてきた。

数学で弱音を吐くことも少なくなってきた頃、遂に、10月の模試で第1希望をA判定まで持っていった。

「模試の結果は合格発表じゃないからな」

と、成績が振るわない時代から、兄ちゃんには口酸っぱく言われていた。

模試の結果を帰ってきて真っ先に見せると、厳しい兄ちゃんから、

「とうとうここまで来たか。気ぃ抜くなよ」

と頭を撫でられ、ゴールが見えてきたみたいで嬉しかった。



しかし、そんな忙しく大変な時期に、私は体調を崩す。

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