テキストサイズ

ドSな兄と暮らしています

第6章 汐夏の挑戦

「うん、ありがとう。……なんか汐夏、嫁に行くみたいだな」

それは兄ちゃんの照れ隠し。
私はガバッと顔をあげて頬を膨らますと、兄ちゃんを睨む。

「兄ちゃん!! もう1回言われないとわかんないの?! もう私、子どもじゃないんだよ!! 兄ちゃんがすっ……」

「わぁーー!!!待て待て、それ以上は!!ごめんって。」

兄ちゃんが慌てて私の言葉を遮る。
『兄ちゃんが好きなのは、本気なんだからね。』
そう続けようとしていたのに、気づかれて遮られた。

いいじゃん、1回言ってるんだし。
私は心の中でも頬を膨らます。

私が兄ちゃんに好きって伝えて、食卓に衝撃が走ったことを思い出していた。あれ程までの衝撃は、もうないかもしれないけれど。

『兄ちゃんのお嫁さんになること』はいつだって本気だ。

兄ちゃんは苦笑いしながら、私の頭を撫でて、言った。

「それ以上は……理性のリミットに自信が無くなる。ごめん。ありがとう。いつかちゃんとお嫁にもらうから、楽しみにしてて」

やっぱ兄ちゃんの方が一枚上手なんだ。
言われてみると少し恥ずかしくて、今度は私の方が俯く。
そう言えるだけの余裕を、兄ちゃんがもっていることが、悔しい。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ