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ドSな兄と暮らしています

第2章 生活

3

「ただいまー」

午後9時、兄ちゃんが帰ってくる。
やっぱり、いつもより遅めだ。

「おかえり!」

パタパタと小走りに玄関まで出迎える。

「学校、遅刻しなかったか?」

妹を見て、開口一番にそれが来るとは……!
朝の軽めの説教が酷くならないうちに。

「だ、大丈夫だったよ! せっかく自転車も直してもらったし。あ、あの、明日からなるべく早起き頑張ります……」

早起きはあんまり頑張れる自信もないから、俯いて、声が小さくなる。
寝坊する運命を断ち切らねば。

「えらい。よく言った。言葉だけにならんようにね」

兄ちゃんは、私の顔を覗き込んで、少し微笑むと、私の頭をぽんぽんと撫でた。

胸がきゅっとなって、ちょっと恥ずかしくて、頬が赤くなりそうだった。

いけないいけない。

そう思って、ぶっきらぼうに今日のご飯を伝えた。

「兄ちゃん、今日の夕飯、トマトソースのパスタにした」

「ほー! トマトソース久しぶりだね。しお、まだ夕飯食べてなかった?」

「うん」

1人で食べる夕飯は寂しいから、ちょっと遅くても兄ちゃんと食べたかった。

「つくって待っててくれて、ありがとうね。一緒に食べようか」

「うん!」

わたしはパタパタとリビングに戻ると、2人分のパスタとスープを温め直した。

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