優しく繋がる赤い糸
第4章 1st side -Natsume-*Act.4
約束の日――萌恵の誕生日当日となった。
あれから夏目は萌恵に好んでもらえそうな飲み屋を探し、自分の中でいくつか候補を挙げた。
ただ、萌恵自身にも選んでもらった方が良いと思い、夜七時、待ち合わせに指定した職場の最寄り駅で萌恵と落ち合い、そこで話を切り出した。
「とりあえず、この辺で良さそうな店は三軒あったよ。全部飲み屋街に集中しているから、とりあえず見てから決めようか?」
萌恵はここで、素直に頷くと思った。
ところが――
「飲み屋、ですか?」
不満を露わにしてポツリと漏らした。
萌恵の予想外の反応に、夏目は面食らった。
「もしかして、飲み屋はイヤなの?」
まさかと思い訊ねると、萌恵は、「イヤじゃ、ないですけど……」と煮えきらない返答をしてきた。
夏目は頭をかきながら眉根を寄せた。
「嫌ならはっきり言っていいんだよ? 今日は水島のハタチの誕生日なんだ。せっかくの記念日がつまらない想い出になったんじゃ、俺としても申しわけない……」
やんわりと、けれども夏目の本心をそのまま萌恵に伝えた。
萌恵はやはり、「でも……」と言葉を濁す。
何がここまで萌恵を躊躇わせるのだろうか。
普段は二十以上も離れている夏目を振り回してしまうほどなのだが。
夏目は辛抱強く待った。
本当はすぐにでも場所を移したかったが、萌恵が何も言わない限りは身動きが取れない。
あれから夏目は萌恵に好んでもらえそうな飲み屋を探し、自分の中でいくつか候補を挙げた。
ただ、萌恵自身にも選んでもらった方が良いと思い、夜七時、待ち合わせに指定した職場の最寄り駅で萌恵と落ち合い、そこで話を切り出した。
「とりあえず、この辺で良さそうな店は三軒あったよ。全部飲み屋街に集中しているから、とりあえず見てから決めようか?」
萌恵はここで、素直に頷くと思った。
ところが――
「飲み屋、ですか?」
不満を露わにしてポツリと漏らした。
萌恵の予想外の反応に、夏目は面食らった。
「もしかして、飲み屋はイヤなの?」
まさかと思い訊ねると、萌恵は、「イヤじゃ、ないですけど……」と煮えきらない返答をしてきた。
夏目は頭をかきながら眉根を寄せた。
「嫌ならはっきり言っていいんだよ? 今日は水島のハタチの誕生日なんだ。せっかくの記念日がつまらない想い出になったんじゃ、俺としても申しわけない……」
やんわりと、けれども夏目の本心をそのまま萌恵に伝えた。
萌恵はやはり、「でも……」と言葉を濁す。
何がここまで萌恵を躊躇わせるのだろうか。
普段は二十以上も離れている夏目を振り回してしまうほどなのだが。
夏目は辛抱強く待った。
本当はすぐにでも場所を移したかったが、萌恵が何も言わない限りは身動きが取れない。