優しく繋がる赤い糸
第4章 1st side -Natsume-*Act.4
萌恵は俯き、しばらく考え込んでいた。
だが、そのうちにゆったりと顔を上げ、思いきったように口を開いた。
「夏目さんと……、ふたりきりで過ごしたいんです……」
萌恵の言葉に、夏目は怪訝に思いながら首を傾げた。
「ん? 君と逢う時はいつもふたりだけだったはずだけど?」
「いえ、そうじゃなくて……」
萌恵はじれったそうに続ける。
「――私と夏目さん以外、誰もいない場所で、ってことです」
そこでようやく、萌恵がやたらと逡巡した理由を悟った。同時に、夏目は仰天した。
「えっと……、つまり君は、人気のない場所に行きたい、と?」
動揺している夏目は、たった今、萌恵が口にしたのと同じようなことを繰り返してしまった。
萌恵はゆっくりと頷き、上目遣いで夏目を覗う。
「それは……、ちょっと拙いんじゃない……?」
恐る恐る口にする夏目に、「何故ですか?」と萌恵が不思議そうに訊き返してくる。
「拙い理由なんて何もないと思いますけど? 先週も言ったじゃないですか。私はもう未成年じゃなくなるから干渉されるいわれはない、って。それとも、夏目さん自身に疚しいことがあるんですか?」
「疚しいこと……?」
心外な発言に、さすがの夏目も眉間に深い皺を刻んだ。
「ちょっと訊くけど、君の言う『疚しいこと』とはどういうこと?」
いつになく棘を含んだ言い回しだと自覚していた。
だが、萌恵の言葉に気分を害したのは確かだった。
だが、そのうちにゆったりと顔を上げ、思いきったように口を開いた。
「夏目さんと……、ふたりきりで過ごしたいんです……」
萌恵の言葉に、夏目は怪訝に思いながら首を傾げた。
「ん? 君と逢う時はいつもふたりだけだったはずだけど?」
「いえ、そうじゃなくて……」
萌恵はじれったそうに続ける。
「――私と夏目さん以外、誰もいない場所で、ってことです」
そこでようやく、萌恵がやたらと逡巡した理由を悟った。同時に、夏目は仰天した。
「えっと……、つまり君は、人気のない場所に行きたい、と?」
動揺している夏目は、たった今、萌恵が口にしたのと同じようなことを繰り返してしまった。
萌恵はゆっくりと頷き、上目遣いで夏目を覗う。
「それは……、ちょっと拙いんじゃない……?」
恐る恐る口にする夏目に、「何故ですか?」と萌恵が不思議そうに訊き返してくる。
「拙い理由なんて何もないと思いますけど? 先週も言ったじゃないですか。私はもう未成年じゃなくなるから干渉されるいわれはない、って。それとも、夏目さん自身に疚しいことがあるんですか?」
「疚しいこと……?」
心外な発言に、さすがの夏目も眉間に深い皺を刻んだ。
「ちょっと訊くけど、君の言う『疚しいこと』とはどういうこと?」
いつになく棘を含んだ言い回しだと自覚していた。
だが、萌恵の言葉に気分を害したのは確かだった。