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優しく繋がる赤い糸

第6章 1st side -Natsume-*Act.6☆

 萌恵は少し間を置き、「それに」とはにかみながら続けた。

「私、ちゃんと夏目さんとひとつになりたい……。ほんとの〈大人〉になりたい……」

 〈大人〉の意味をはき違えている気がしなくもない。
 しかし、自分とひとつになりたい、などと言われてしまうと理性を保てなくなる。

「ここからは、優しくする自信はないよ?」

 脅しとも取れる言い回しに、萌恵は、「いいですよ」と答える。

「夏目さんになら、どんなことをされても平気ですから……。私を、壊して下さい……」

「――分かった」

 夏目は一度、萌恵から離れた。
 そして、ベッドから降り、チェストの一番上の小さな引き出しを開けた。

 念のためにと用意していたものの、まさか本当に使うことになるとは考えもしなかった。
 だが、結果としてこうなってしまったのだから、買っておいて良かったとつくづく思う。

 萌恵に背中を向けた状態だから、萌恵がこちらを見ているのかどうかは全く分からない。
 しかし、夏目が今、何をしているかは、もしかしたら何となく想像は出来ているかもしれない。

 夏目は手の平に収まる箱の中から、ミシン目で繋がったそれを取り出す。
 そこからひとつだけ切り離し、中身を破かないように注意深く開けると、ゆっくりと夏目自身に被せてゆく。

 しっかり入ったことを確認した夏目は、再びベッドに戻った。

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