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優しく繋がる赤い糸

第6章 1st side -Natsume-*Act.6☆

「萌恵」

 萌恵の名前を口にすると、萌恵は嬉しそうに満面の笑みを浮かべる。

「また、『萌恵』って言ってくれましたね?」

「うん、言った」

「もっと、呼んでくれます?」

「萌恵も呼んでくれる?」

「あなたも、名前で呼ばれるのは嬉しい?」

「うん。萌恵にならいくらでも呼ばれたい」

「――改めてお願いされると、ちょっと恥ずかしい、かも……」

「さっきまで普通に『毅弘さん』って言ってたのに?」

「それは……、流れ的に、ってゆうか……」

 夏目から視線を逸らそうとしているのか、夏目の胸に額を押し当ててくる。
 恥ずかしそうにされると、自分まで照れ臭さを覚えてしまう。
 とはいえ、名前を呼ばせたい。
 そう思った夏目は、耳元で「萌恵」と呼んでみる。

 萌恵の肩がわずかにピクリと跳ね上がる。
 それから観念したのか、恐る恐る顔を上げた。

「好き、毅弘さん……」

 ほんのりと頬を染め、萌恵が告げてきた。

 夏目の鼓動が高まる。
 これがときめきってやつか、などと懐かしく思いながら、萌恵の髪を梳いた。

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