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Melting Sweet*Extra

第3章 悪戯にはほろ苦い媚薬を*Act.1

 ハロウィンなんて、元々は日本にはない風習だったのに、いつの間に定着してしまったのだろうか。
 ただ、それを言えば、クリスマスだってバレンタインだって、日本人には無縁なはずのイベントなのだが。

 とにかく、十月に入ると、大型百貨店はもちろん、小ぢんまりしたスーパーでもハロウィンのコーナーが設けられている。

 それにしたって、手の平サイズのオレンジ色のかぼちゃを目にした時は、その場で噴き出しそうになってしまった。
 ご丁寧にデコレーション用のシールもあったから、それで目と口を自分で貼り付けて家のどこかに飾るのだろう。
 しかも、〈食用ではございません〉という注意書きまでしっかりされていた。

 とにかく、俺はハロウィンに関しては全くと言っていいほど興味が湧かなかった。
 当然、夕純さんもそんな子供騙しなイベントに乗るとは全く考えていなかったのだが――

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