テキストサイズ

スーパーおにぎりマーケット

第23章 衝動

いま、新幹線に乗っています。

衝動です。
彼に会いに行く。なんとなく、今日は行ってしまうだろうと、一昨日くらいから話はしていました。

だから、衝動とは違うのかもしれません。
でも文字通り、電車に飛び乗ったわたしがいます。
迷いがなかったと言えば嘘になります。
でも、こうしたいと思った自分の心に、正直になりました。
キャパオーバーな日々の中で、溺れて息継ぎできなくなる前に。
そんな日々を生き抜いて、自分に嫌になりながらも向き合ってきたわけだから。
我慢だらけの毎日で、今日くらいは、そんな自分も受け止めてくれる人と、一緒にいてもいいんだと思いたい。

ただただ、会いたいんです。
毎日、思っています。
帰ってから、家にいてくれたら、どんなに良いだろうかと。
既に同棲している友だちが、すごく羨ましく思えて。
婚約した友だちが、すごく輝いて見えて。

わたしたちにはまだ、同棲も婚約もできるだけの余裕が無い。
どちらかが、どちらかの、いまある生活を差し置いて、暮らさないといけない。そんな思い切りの良いことができるだけの助走が、まだ無いのだ。
わたしたちは、足元固めてしっかり走って飛ぶ、その足元を固めるところにいると思います。
すんごい、焦れったいし、遠回りに思えるかもしれないけれど、これがいちばんの近道です。お互いが納得して暮らせるように。

それくらい、お互いの大事にしているものも大事にしたいって思っているから、会えなくても居心地が良さを保てます。

……ここまでくると、彼氏というより、仲間みたいなもんですね。良い人に恵まれたと思います。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ