テキストサイズ

ママ、愛してる

第5章 瀬戸内

「さっきも話したけど、昨日ね、絢子ママの錯乱する姿を見てて思ったんだ。
絢子ママは、やっぱり幸介の母親なんだって。
今は身体の関係があって恋人みたいに過ごしていても、
いつかきっと母親に戻るって。
だから、絢子ママが迎えに来るって言うのを、あたしは止めた。
もし、絢子ママがいない間に幸介が戻ってきたら、誰が迎えてあげるのって。
絢子ママ、あたしに任せてくれた。
そして今、幸介とこうなったの。
嫌になった?
こんな計算高い女。
でもあたしは、今日、幸介に抱かれたことで生きていける。
女にとって、一生に一度だけの事を、幸介にしてもらえた。
それで、充分」

僕はあまりの事に、何を話していいのかわからなかった。

「由香の気持ちはわかった。でも、僕にも少し時間がほしい」

由香は頷いた。

その夜、
僕も由香も、一睡も出来なかった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ