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ママ、愛してる

第6章 交錯

その夜、僕たちは夜中まで話した。

由香の就職のこと。

僕のこれからのこと。


ママのことが、僕は心配だった。

精神的に参ってしまったりしないだろうか?

僕に十字架を追わせるような行動だけは、絶対にしない。
それだけは、信じている。

でも、ママはそれで、本当に良いのだろうか?


悩む僕に、由香が言う。

「勝手だと思うかも知れないけど、多分絢子ママは、こうなることをわかってた、
いいえ、望んでたんだとあたしは思うの」

「そうかなあ」

「絶対とは言えないけど、
少なくともあたしだったら、そうだと思う。
気に触ったらごめんだけど、
幸介との時間って、絢子ママにとってはすごく嬉しい時間だったと思う。
でも、同じくらい苦しかったと思うんだ」

「・・・」

「あたし、お母さんになったことはないから、想像するしかないんだけど、
幸介と今までの生活を続けていても、未来は見えない。
でも、他の女性なら、いろんな未来が開けてくる。
あたしじゃなくても。
そんな時、あたしが現れた。

あたし自身、自分のきもちがはっきりわからなかったけど、
今は違うよ」

「由香」

「絢子ママはね、あたしに幸介の未来を託してくれたんだと、今は思ってるの」

僕は思った。

明日、由香とふたりで、ママと話そう。




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