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変態ですけど、何か?

第8章 暴走

カゴをもって店内に戻り、渡辺の言うタイトルを探すが、何千枚もある中から探し出すのは、至難の技だった。

それらしきタイトルの並んだ棚から、探して見るが、一向に見つからない。


お客さん達の、いやらしい視線があたしを捉えて離さないし、
渡辺の出したものが太ももの内側を流れ出てくる。

あたしは意を決して、フロントの金髪に聞いた。

「そんなタイトル、聞いたことないな。間違いない?」

「え、ええ。ある筈なんですけど」

「ホントに?」

それでも、金髪はパソコンの一覧表を開いて、探してくれた。

「やっぱり、無いよ」

あたしが部屋に戻ると、渡辺は言う。

「だろうね。テキトウに言っただけだから」


あたしの中で、何かが切れた。

変態、露出狂と罵られ、軽蔑されることは望んでいる。
大勢の男に輪姦されるのも構わない。

でも、こういうイタズラでバカにされるのは許せない。

それに・・・

今までを思い返した。

あいつ、自分から一円だってお金出してない!

おじいさんが出した小銭もとりあげたし、映画館だって、ここのお会計だって。

「バカにしないで!」

あたしはバッグを持って部屋を飛び出した。

店を出たものの、一体ここがどこなのか、
近くに駅はあるのか、全くわからない。

目の前は大きな道路で、車はたくさん走っているけど、人通りはほとんどないし、タクシーが流している様子もない。

でも、とにかくここから離れなきゃ。
渡辺に追いかけて来られたら、何をされるかわからない。

あたしが店の駐車場から出ようとしていると、
後ろからクラクションを鳴らされた。

渡辺?

あたしが無視して行こうとすると、車の方から声がした。

「ちょっと待ちなよ」

渡辺の声じゃない?

あたしが振り返ると、店で見かけた女装さんが車の窓から声を掛けていた。

「どこに行くの?!
あいつにヒドイ事でもされた?」

あたしは立ち止まった。




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