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変態ですけど、何か?

第9章 診療過誤 ~秋野玲子とのこと~

『秋野美容外科で医療過誤の疑い!
患者らが、提訴へ!』


秋野美容外科って、玲子のところじゃない!

グルメの番組から急に画面が切り替わり

記者に囲まれた玲子の姿が写し出された。

玲子!大丈夫なの?

高校生のあたしには、医療過誤についての知識なんてない。
過誤と言うからには、診療中に何かのミスかトラブルがあったと言うことだろう。

その詳細まではわからなくても、大変な事が玲子に起こったことだけは、画面を観ていてわかる。

あたしは、携帯に手を伸ばした。

呼び出し音が電話の向こうで虚しく鳴るが、電話を取る気配もない。

何回呼び出し音がしても、留守電にも切り替わらない。

「玲子!大丈夫なの」

あたしの胸のドキドキが収まらない。

とにかく、状況を確かめなければ。

あたしは、ニュースに耳を凝らす。

総合すると、秋野美容外科で全身麻酔で手術を受けた患者さんに後遺症が出たり、
意識が戻らず、植物状態になっている人がいる。

その患者さんや家族が、秋野美容外科を相手に裁判を起こしたと言うことだ。

あたしは、何度も何度も玲子に電話を掛けるが、やはり繋がらない。

『玲子、大丈夫?とにかく何か連絡して!』
携帯にもメールを入れる。

万が一、メールが見られたりしたら、と思って、それ以上の事は書けない。

できることなら、今すぐにでも玲子の元へ言って、話を聞いてあげたいけど、

高校生のあたしには、電話とメール以外の方法は思い付かない。

自宅だって、わからない。

仮にわかっていても、今すぐ逢いに行くのは、玲子の足を引っ張る結果になるかも知れないし・・・。


玲子。
一言で良いから、連絡してよ!






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