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変態ですけど、何か?

第9章 診療過誤 ~秋野玲子とのこと~

玲子が消息を絶って3ヶ月が過ぎた。

秋野美容外科のニュースは、最近は殆んど報道されなくなっていた。

2月に、患者側が慰謝料に合意し、提訴を取り下げたらしいから、ニュースバリューは無くなったと言うことか?


3月。

終業式の翌日の事だ。

玲子から、メールが届いた。

『玲子!!』

あたしは、小躍りしてメールを開いた。

『玲子、待ってたよ!』


そして、あたしは絶望の中に突き落とされた。


『里帆。

ようやく真実がわかった。

でもね、私、もう疲れちゃった。

ごめんね里帆。

あなたの幸せ、心から祈ってるよ。

今までありがとう。』


「いやああぁ!」

あたしは携帯を投げ捨てて、叫んだ!

「玲子が!玲子が!」


とにかく止めなきゃ!

携帯を拾い上げ、狂ったように返信する。

でも、何の返信もない。


玲子!

玲子!

何とかしなきゃ!何とかしなきゃ!

あたしは箪笥に隠しておいたお金をバッグに入れて家を出た。


でも、

どこをどう探せばいいの?


タクシーで、秋野美容外科を訪ねたが、もう看板すら無くなっていた。

警察に駆け込んでみたが、
親族でもない高校生の訴えなど、取り上げてはくれなかった。

婦人警官が、泣き叫ぶあたしをなだめてくれたが、行方不明の捜査など、してくれはしない。

何かヒントがないかと、2人で話したことを思い出してみようとするけれど、何も思い浮かばない。

あたし、玲子の事なんて、何も知らなかったんだ!

その事実に、ショックを受けた。

あたしは、一度家に帰った。

パパは、まだ帰っていなかった。

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