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物忘れシリーズ おまわりさんがきた

第1章 おまわりさんがきた

ボクは一応大学生だ。
成績はあんまりよくはなく、うだつが上がらないけど、何とか三流の大学でも浪人もすることなく滑り込めたのはラッキーとしか言いようがない。

ムダに親のスネをかじっていると言われても仕方がないけど何とか無事に大学生活を送っている。

年の瀬も迫った今、帰省のために実家に向かっている。親元を離れて慣れない都会で暮らして久しぶりの帰省だ。
本当はもっと早くに帰りたかったんだけどバイトもけっこう忙しかったので年の瀬ギリギリの帰省となってしまった。

そんなに裕福な家庭に育っているワケでもないなで、スネをかじりっぱなしというワケでもなくつバイトもけっこう頑張っているんだよね。

正月ぐらいは実家で過ごしたいと思っていたから間に合って本当によかった。

ところで、正月には例年の恒例で親戚が実家に集まってくるんだけど、大学生にもなってバイトもしている今、お年玉をもらってもいいものかどうか悩むところである。

親戚の人たちも大学生のボクにお年玉をくれるかどうか迷っているのかも知れないけど、前向きに検討してもらえるとありがたい。

駅で電車を降りてからそんなくだらないことを考えながら歩いているんだけどなかなか家に着かないな・・。

降りる駅は間違えていないはずだ。
道は今まで何回も通った見慣れた道だ。それなのに何で何回も間違えたり迷ったりしてしまうのか不思議だ。まあ、超方向音痴だし、超物忘れが激しいボクだから、しばらくぶりの故郷だから仕方がないか。

都会に比べたら分かりやすい道だよ。毎日学校とバイト先と寮を往復するのにどれだけ道に迷っていることか。それに比べたら全然大丈夫、ゆっくり歩けばそのうちたどり着くさ。

そんなことを考えていると、何と今いるのは実家の前の道路だった。一区画先の目の前に見えるのは間違いなく実家だった。つまり、さっきから自宅の周辺をぐるぐると迷って歩いていたらしい。

ともあれ実家に着ける。よかった・・・いや、全然よくないよ、なんと家の前におまわりさんがいる。けっこう難しそうな顔をして母親と何かを話している。まさかボクが帰ってくることを知って捕まえにきたのか?💦

でも、何で?こんなていたらくだけど、それなりに真面目に一生懸命に生きてきたつもりだ。おまわりさんに捕まるような悪いことはしていないはずだ。

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