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物忘れシリーズ おまわりさんがきた

第1章 おまわりさんがきた

犯行当時はまだ未成年だったから少年Aとかで済ませてくれないかなぁ。せめてもの武士の情け💦

さらにボクはとりかえしのつかないことをしてしまった。
大学生になってから地下アイドルさんの推し事を始めた。推しメンは緑カラーのちーちゃんで、Tシャツもグッズも緑カラーで決めている。

それが、何をどう間違えたのか特典会の時にちーちゃんと間違えて青カラーのしーちゃんのところに緑に染まった姿で行ってしまったのだ💦

一応土下座して謝罪はしたのだが、ちーちゃんにもしーちゃんにも失礼極まりない失態でかなり罪深い。悪質ないやがらせ行為と取られても仕方ない。

何でこんな間違いを犯してしまったんだろう。緑と青を見間違えたのか、ちーちゃんとしーちゃんを勘違いしてしまったのか、さっぱりワケが分からない💦
ちーちゃんだと思って意気揚々と行ったらしーちゃんだったので驚いたのなんの・・。

ちーちゃんもしーちゃんも「もう、何やってんのよ」とクスクス笑って許してくれたが、運営さんとかが、許せない大罪、悪質な営業妨害として通報したのかも知れない。

自分のしでかした悪事の数々が走馬灯のように甦る。今まですっかり忘れていたことなのだが、おまわりさんの姿を見て、何でおまわりさんが来たのかを考えたら次々と失われていた記憶が甦ってきた。

あっ、おまわりさんがこっちを見た。ボクに気がついたみたいだ。ひえぇ~っ、こっちへ向かってくる。咄嗟に逃げ出すが、ボクは自慢じゃないけど競走では誰にも勝ったことがない俊足の持ち主だ。必死に走る、走る。ダメだ、追いつかれる。息が切れる、切れる。がんばれ、がんばれ、ダメだ・・ついに追いつかれた。

家に帰ると親父にこってりしぼられた。すっかり忘れていたけど、親父は警察官だったっけ。久しぶりにボクが帰ってくるんで時間休を取って家で待っててくれたみたいだ。
警察官を見て急いで逃げ出すとは何かやましいことがあるのかと厳しく追及されたが、何とか誤魔化せた。悪事の数々は一生秘密で墓場まで持っていかなくてはならない。といっても、あんなに走馬灯のように甦った記憶も既に半分ぐらいは忘れてしまって思い出せないが・・。

「まったく、父親が警察官だったと忘れてたのはともかく、父親の顔も分からなかったのか、情けない」






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