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物忘れシリーズ おまわりさんがきた

第1章 おまわりさんがきた

「だって、普通はおまわりさんなんて見たら動揺しちゃって顔なんて分かりません(えっ、そんなに動揺するのはボクだけですか?)」

「警察官を見たぐらいでそんなに動揺するとは情けないヤツだ。悪いことしてないんなら堂々としてやがれ」

「普通はおまわりさんなんて見たら逃げ隠れするよ(やっぱりボクだけですか?)

「まったく、二日も時間休を取って待っていてやれば、挙げ句の果てに逃げ出すとは情けない」

と親父はぼやく。えっ、二日も・・。親父はボクが帰ってくるのを昨日だと思い込んでいて、昨日も時間休を取ってボクを待っていたみたいだ。

「わははは、それぐらいの勘違いはよくあることだ。そんな細かいことは気にするな。わははは」

出た、親父のわはははという豪快な笑い。何かやらかした時に誤魔化すこの豪快な笑いも久しぶりに聞いたよ。

親父とおふくろにしぼられているとおばあちゃんがお茶とお菓子を持ってやってきた。いつもボクを可愛がってくれる優しいおばあちゃんだ。久しぶりに会えて嬉しいよ。大学生になってもお年玉をくれるかな?

「まあまあ、久しぶりに帰ってきたんだ。その辺にしておきなさい。父親が警察官だってことをすっかり忘れるなんて間違いなくお前たちの子だよ」

おばあちゃんは何かを思い出して爆笑しながらボクが赤ちゃんの頃の話をしてくれた。

親父が非番の日に赤ちゃんのボクを連れて夫婦でスーパーに買い物に行ったとのこと。
レジに行った時に財布を忘れてきたことに気がついて店員さんに平謝りして親父は猛ダッシュで財布を取りに戻った。

某アニメの主題歌で歌われているようなことを本当にやる人がいるんだと言いたいけど、やめておこう。

下手に刺激してボクが小学生の頃にランドセルごとすべてを忘れて登校してしまった大騒動を蒸し返されたらたまらないから。

それよりも問題はその後のことだ。

親父もおふくろも財布の失態で頭がいっぱいになってしまったのか、なんと荷物をレジ袋に詰める台のところに赤ちゃんのボクを忘れて帰ってしまったとのことだ。

両親揃って赤ちゃんを忘れたことに全く気づかずに、何事もなかったように夕食の支度をして、晩酌がてら夕食を食べて、風呂に入ってぐっすり眠ったとのことだ。

翌朝、何事もなかったように出勤した親父はスーパーに赤ちゃんが置き去りにされた事件の通報を受けて駆けつけた。

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