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誓いのガーランド

第17章 花畑の来訪者 5

花実の体は感覚をどんどん失っていった。
最後に残ったのは、鈍い鈍い、痛みだけ。
でも、どこが痛いのかもわからない。

楓とするのとは全く別物の行為に、嫌悪感から何度も吐いた。花実が嘔吐する度に、頬を打ち、「大丈夫?」と背中をさすってくる永山は、正気の沙汰ではなかった。

今頃きっと、楓はわたしを待っている。
心配している。
帰らなきゃ。生きて、帰らなきゃ。

楓、楓、楓、楓、楓……

心の中で、何度、楓の名を呼んだかわからない。

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