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誓いのガーランド

第4章 繋がる輪 3

ほぼ毎日、定時で上がる角村のことを考えていた。

定時で上がるには、何か理由でもあるのかな。
彼女でもいるとか。きっと、家で料理を作って待っているのかもしれない。
30代に差し掛かったら、結婚だって考えていてもいいはずだ。

平凡な彼女の想像力では、ここまでで限界だ。
花実が角村への気持ちになかなか向き合えない理由は、ここにあるのかもしれない。

すっかり、窓の外が暗くなる。ぽつぽつと家々の明かりが広がる頃には、花実の家の最寄り駅まで来ていた。

最寄り駅から家まで、ゆっくりと歩く。
花実はその頃にはもう、家に帰ったら何をするかを考えはじめていた。

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