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誓いのガーランド

第24章 ひかりの輪 2

「……楓……泣いてるの?」

震える声を抑えながら、花実が楓に尋ねる。
不思議と、花実にはその泣き顔がきれいに思えた。

「泣いてるよ」

花実は楓の震えそうな静かな声に耳を傾ける。
彼女は楓の涙に触れたいという衝動に駆られた。
誘われるかのように、目を瞑りながら涙を流す楓の頬に、花実はそっと触れた。

楓は、驚いて息を止める。心が震える。
どうしようもなく、愛おしい気持ちが胸の中に満ちて溢れて。
楓は自分から動くことを必死で制御した。

濡れた頬の感触が、新しい。

花実はあの日から幾度となく、彼女のために涙をこぼす彼を見てきた。

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