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誓いのガーランド

第25章 ひかりの輪 3

花実は、その緑の中にゆっくりと入っていった。
木々が生い茂る、神社の鳥居をくぐる。
日陰が多いその場所は、暑さが少し緩んで、ひんやりとした風が花実たちの頬を撫でた。火照った体に気持ちいい。

何も変わっていなくて、花実は、自分が昨日までの続きをしているんだと思った。
もう何も怖くなかった。

花実の後を、楓はゆっくりとついていく。
花実がここまで来たことを噛みしめながら、その後ろ姿がようやく、小さく心細いものではなくなってきていることを感じた。

猫は、残暑が残る日向を選ばず、こっそりと日陰に身を潜めていた。

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