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誓いのガーランド

第25章 ひかりの輪 3

花実はゆっくりと近づいていく。
目を閉じていた猫は、花実の姿を片目で見ると、ゆっくりと立ち上がって、ひと鳴きした。

「にゃー」

久しぶり、とでも言うように、猫は近づいてくる花実には怯えずに、しっぽを立ち上がらせた。
その様子を見て、花実はにっこりと微笑んだ。

「……久しぶり、だね」

そういうと、猫のしっぽの先は花実の方にくいっと曲がる。
花実はしゃがみこむと、手を出して挨拶をした。
彼の鼻先に右手の匂いを嗅がせる。彼は花実の周りを1周してから、花実の膝に頭を擦り付けた。
彼女は、ゆっくりと彼の背に手を伸ばす。さするように撫でながら、話しかけた。

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