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エマは、花畑の上をひらひらと飛ぶ蝶に目を奪われる。色とりどりの花の上を、低く、休み休みに飛ぶ蝶を、キラキラとした表情で眺めては微笑んだ。

ジョセフはそんなエマの可憐な姿に見とれた。

エマの方へ近寄る。
向かい合って、座り込んだ2人は見つめ合う。

｢花冠は、しってるかい？｣

ジョセフは大きな手で、器用に編み上げた花冠を彼女にみせた。
白い花を中心に編み上げられた花冠は、結婚式のブーケのようだった。
エマはその美しさに目を奪われながら、少しだけ縦に頷く。エマは繊細なその花の輪っかに、触れてみたいと思った。

｢動物たちの間では、これで誓いをたてるんだ｣

そう言いながら、ジョセフはそっと、エマの目を見てから、彼女の頭に花冠を授ける。
彼女はそっと両手を頭の上にもっていき、それを触って、照れたようにはにかんだ。

｢エマ、二人で幸せになろう｣

ジョセフは太陽の光をたくさんに含んだような笑顔で、エマに言った。
エマは心の底から湧き上がる、温かい感情にその身を任せる。


彼女は花冠を落とさないように、そっと優しい仕草で、自分の唇とジョセフの鼻先をくっつけた。


重なる瞬間に目を閉じて離す時にゆっくりと目を開けると、エマは恥ずかしそうに彼から目を逸らした。
その瞬間、花畑の花たちがそよ風に吹かれて、お祝いするかのように小さく揺れた。