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誓いのガーランド

第25章 ひかりの輪 3

楓は、そんな2人の様子を少し離れたところで見届けながら、微笑んだ。

「親友との、感動の再会か……」

言いながら笑いつつ、スマホを取り出して、2人が戯れている写真を、その手に収める。

長く、つらかった日々のことが胸を痛めるより早く、楓の心はその光景にほっとしていた。
花実が自分の意思で、ここに来ることを選べるようになった。その大きな進歩が、彼の心を充分に潤した。
トンネルの先を抜けた、何よりも美しいその景色を、しばらくその目に焼き付ける。
もうきっと、俺がついていなくても、花実は自分の足でしっかり立って歩ける。
楓はそう確信した。
不安ならまた、そばにいてやればいい。
前日、花実が楓に触れたことを思い出して、目頭が熱くなっていた。

きっともう大丈夫。
自分に言い聞かせながら、花実に気づかれないように目頭を抑えて、落ちそうな涙を止めた。

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