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誓いのガーランド

第25章 ひかりの輪 3

あたたかい。

花実は、楓にすら触れられなかったときの寂しさを少し思い出しながら、目の前にいる猫に触れていた。
だれの、どの温もりにも、触れることが、手を伸ばすことすら、許されなかったこの4ヶ月間。
花実はようやく得られるようになったそのあたたかさに、心が震えた。
あたたかいって、心強いんだ。

「……ずっと会いたかった、待っててくれて、覚えててくれて、ありがとう」

花実の胸に波が押し寄せて、耐えられなくなったそれは、涙としてこぼれ落ちて、地面に斑のシミをつくった。

「にゃー」

猫もまた、嬉しそうに声を上げる。

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