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誓いのガーランド

第26章 ひかりの輪 4

ひととおり猫とじゃれ合った花実は、そろそろ帰る頃かと思い、辺りを見渡す。
ぱっと見て、後ろにいると思っていた楓が見当たらなかったことに、胸がざわつきそうになったが、そんな彼女をみて、先に楓が声を上げた。

「花実〜」

境内の片隅、日陰に楓はしゃがみこんでいた。
花実が近づくと、猫も鳴きながらその後をついてくる。
楓はその様子を見て、諦めたように苦笑した。

「猫、ついてきちゃった」

花実がそう言った瞬間に、ひとつ、楓はくしゃみをする。

「……っくしゅ…… あー、だめかも」

「ごめんね」

申し訳なさそうな顔をする花実に、猫は気にせず「にゃー」と鳴いた。その様子がかわいくて、楓も笑わずには居られない。

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