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誓いのガーランド

第26章 ひかりの輪 4

楓は、彼女から立ち上る甘い匂いと、草花の匂いに包まれながら、しっかりと彼女の体を受け止める。その柔らかさと儚さに、楓はこれからも守り続けることを決意した。
お互いをお互いが包む体温に、楓も静かに涙を落とす。

あぁ、だめだ。俺は涙脆くなったなぁ。

楓の心の内側にいる、冷静な自分が言う。

涙脆くなっても、かっこ悪くても……これから俺は、花実とずっと、一緒にいるんだ。

せめて、花実に泣いてることを悟られないように、楓はふっと笑顔を浮かべる。
その光景を祝福するかのように、猫が花実に擦り寄って、声をあげた。

涼しくなっていく、神社の境内。
ふたりは新たに誓いをたてて、静かに抱きしめあっていた。

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